ぬくブログ
スタートアップ等を支援したい

【起業を考えている方向け】3冊だけでいい!ビジネスモデルの作り方が学べる本

この記事では、ビジネスモデルの作り方を知りたい方向けに、おすすめの本を紹介していきます。

起業をしようとしたときや、新規事業を立ち上げようとしたとき、「そのビジネスはどういうビジネスモデルを想定しているの?」と聞かれ、ビジネスモデルについて調べようとしたものの

  • 色んな企業の事例はいくつか見つかったけど、自分のビジネスモデルを作るためにはどうしたらいいのかよくわからない。
  • いきなり「ビジネスモデルキャンパスを作るといい」と言われたものの、どうやって作っていいのかよくわからない。
  • 本屋やAmazonでビジネスモデルの本を物色したけれど、いっぱいありすぎてどれがいいのかよくわからない。
  • そもそも「ビジネスモデル」が何なのかよくわからなかった。しかもサイトや本によってバラバラだった。

というようなお悩みはないでしょうか。

実はこれ、私自身が通った道です。

私の場合、何年も色んなビジネスモデル本を物色し、ようやく「この辺の本読んどけば大丈夫だな!」という本が見つかったのですが、そこに至るまでは何年もかかりました。

この記事では、以前の私と同じよう悩みを持った方に、私がたどり着いた「これを読んでおけば基本OK!」と考える本3冊をご紹介します

これを見て、何冊も本を物色して行ったり来たりする無駄な時間を省略してください

ビジネスモデルが注目されている理由

まず簡単に、ビジネスモデルが近年注目されている理由や、なぜビジネスモデルを考えることが重要になっているかをお話していきます。(それはわかってるからさっさとお勧めの本教えろ!という方は、この章は飛ばしてください。)

ビジネスモデルに関する本は、ここ2016年くらいから一気に増えています。マーケティングの本も、ファイナンスの本も、ずっと前からありますが、ビジネスモデルについて書かれた本は2010年以前は(私が知る限り)ほとんどありません。

なぜでしょうか?それは、ビジネスモデルが近年大変多様化・複雑化しているからです。

本屋を例にとって説明すると、以前は、本屋と言えば、「店舗を構えて、出版社から本を仕入れてお客さんに売り、仕入れ値と売り値との差額で稼ぐ。」というビジネスモデルほぼ一択でした。

しかし近年では、この枠に当てはまらない「本屋」が多数出てきています。

例えば(近年と言えるかどうかはさておき)Amazon。「店舗を構える」という点をwebに切り替えたことで、実店舗の本屋では不可能な品ぞろえを実現しました。

蔦屋書店もいい例ですね。座ってコーヒーを飲みながらじっくり立ち読みができるという点を売りに、本を餌に人を集めてコーヒーで稼いでいくようなスタイルです。本を売ることにこだわらないという点で新しいです。

あとは、六本木にある文喫。こちらは、入場料がかかる本屋です。本を売るだけでなく、滞在時間に対し課金しているという点で新しいですね。
実態としては、本屋というより「本も買えるシェアオフィス」というような側面も強いですが、本屋から派生したビジネスになります。

このような変化が起きている理由としては、テクノロジーの進化であったり、モノよりも体験にお金を払う消費者行動の変化といったことが上げられると思いますが、理由はさておきこのように本屋の例だけ見ても、「店舗を構えて、仕入れて、売る」以外のビジネスモデルの選択肢が急速に広がっています。しかも、そこをどう設計するかで大きく収益性が変わってくるため、今注目されているのだと思います。

ビジネスモデル本を選ぶ時にやりがちな失敗

本を紹介するに当たり、私がどういう基準で本を厳選したか、ということをご説明します。その方が、私が選んだ本があなたのニーズに合うかわかりやすいだろうと思うからです。

ビジネスモデル本で多いのは、事例集のような本です。
「ビジネスモデル50選」みたいな本ですね。

こういう本が多い上に、本のタイトルに明確に「ビジネスモデル」と書いてあるので、最初に手に取りやすいです。

しかしこのような本は、具体例をある程度知ることはできるものの、それらを踏まえて新しいビジネスモデルを作るためにはどうしたらいいのか?というところの説明が弱いです。そのため、

  • 良いビジネスモデルはどのようなもので、どのようにしたら作れるのか(抽象化)
  • 自社のビジネスモデルに落とし込むとどうなるのか(具体化)

という2ステップを自力でやらなければならず、「良い事例があることはわかったけど、それを活かして次は何をしたらいいんだ?」ということになりやすいと思います。

そうならないよう、今回紹介する本は、単に事例を列挙するだけでなく、

  • ビジネスモデルの考え方の枠組みを示した上で(抽象化)
  • その文脈に沿った形で事例を紹介し、示した枠組みをより深く理解できるようにしている(具体化

という本をピックアップしています。

ビジネスモデルの作り方を学ぶための厳選3選

では、前おきはこれくらいにして、私が厳選した3冊の本を紹介します!

1.ゼロからつくるビジネスモデル

こちらの本は、タイトルに偽りなく、「ビジネスモデルを作るためには、どのように考えればよいのか」ということをしっかり説明してくれています。その点において、私が知る限り他の類書と比べてぶっちぎりで優れています。

また、作り方だけでなく、ビジネスモデルの意義や事例も非常に体系的にまとめてくれています。

全体で500ページくらいある分厚い本ですが、まずは「第Ⅰ部 ビジネスモデルの基本」を読むだけでも、ビジネスモデルとは何か、という点や、ビジネスモデル作りに役に立つ基本的なフレームワークはおさえることができます。第Ⅰ部だけならちょうど100ページくらいなので、そこまでハードルも高くありません。

第Ⅰ部の中でも、特に

  • ビジネスモデルキャンパスやピクト図解等のフレームワークを説明した第4章
  • ビジネスモデルを考えるときの「分析・発送・試作・検証」という基本的な思考方法について書いた第5章

はおすすめです。(第1~3章は前置き的な面もあるので、サラッとでもいいかもしれません。)

加えて、

  • 様々なビジネスモデルの作り方を俯瞰的に整理しまとめた第17章

も、頭の整理に非常に有益でした。
「デザイン思考」とか「リーンスタートアップ」とかなんとなく聞いたことあるけどあまり理解ができていない、という方は、これらの考え方がビジネスモデルを作る上でどのように役に立つのか理解する上で、第17章が大きな助けになるはずです。

時間がない方はまずこのあたりの章を優先的に読んでみるとよいのではないでしょうか。

これらの章だけを見ると少し抽象度が高いように感じた方は、事例も交えながらより具体的に説明をしている6~13章を、気になる章だけでよいのでつまみ読みする、という進め方が、時間がない方にはおすすめです。

私がこれまで読んできた他のビジネスモデルに関する本のエッセンスは、この本一冊でほぼカバーできていると感じています。

私自身も、ビジネスモデルについてある程度調べてみたものの、どうもパズルのピースがうまく頭の中でハマらない感覚があったのですが、この本を読む中でパズルが組み上がっていく感覚があり、読んでいて非常に爽快でした。ビジネスモデル初学者の方だけでなく、ある程度勉強してきたけどどうもしっくりこないという方にもお勧めできる本です。

分厚い本ですが、気になったところだけ読む使い方でも十分すぎるほど元が取れる本だと思いますので、ぜひ読んでみてください。

ゼロからつくるビジネスモデル

2.収益多様化の戦略

ビジネスモデルを、ざっくりと「顧客にどのように価値を提供し、どのように利益を上げるか」と定義すると、先ほどの「ゼロからつくるビジネスモデル」は、どちらかと言えば「顧客にどのように価値を提供するか」についての記述が多いです。

一方でこちらの「収益多様化の戦略」は、「どのように利益を上げるのか?」にフォーカスした本になります。

冒頭でも、蔦屋書店や文喫の例で、本屋の課金の仕方が変わっていることを紹介しましたが、このような動きは他の分野でも拡大しています。

例えばYoutuber。
昔だったら、何か自分で映像コンテンツを作って発信しようと思ったら、自分で映像を撮って、DVDなりを売って「この映像見たかったら○○円払ってDVD買ってね。」とするしかありませんでした。
しかし今、Youtuberの映像を見るのに、私たちはお金を払う必要はありません。それは、Youtuberが、映像を見ている私たちではなく、広告主からお金をもらっているからです。

他の例でいえば、携帯ゲーム。
昔だったら、ゲームソフトをお金出して買う必要がありましたが、今はゲーム自体は無料で入手し、プレーできます。
その代わり、ゲーム内のアイテムを手に入れるのに課金したりしているわけです。

このように、「どうやって価値を提供するか」だけでなく、「どのように利益をあげるのか」という選択肢が、近年大幅に広がっているのです。

マネタイズの方法を変えることで、単に事業の収益性が上がるだけでなく、古典的なマネタイズ方法では実現できなかった価値提供もできるようになるかもしれません。

私もそうですが、ビジネスのアイディアを考えるとき、人は基本的に「稼げる選択肢の中で」検討をします
「それは確かにお客さんの役に立つかもね。でもそれでどうやって儲けるの?無理じゃない?」というものは、無意識に選択肢から除外しています。

極端な例でいうと、母親の子育てを助けるビジネスを考えよう、というときに、「世の中のお母さん全員に、欲しいだけのお金を無償で渡すビジネスをしよう!」というアイディアはまず間違いなく出てきません。
多分お金をもらったお母さんは助かるでしょう。にもかかわらず、これが選択肢に入らないのはなぜか。儲からないからです。

もっと現実的な例を出しましょう。
今Youtuberやっている方の中にも、Youtuberという業態が世の中に広がるまでは「自分でコンテンツを作って世の中に発信することで生きていこう」なんて考えたこともなかった方が多いと思われます。
「自分でコンテンツを作って世の中に発信することで生きていける(=稼げる)んだ」ということがわかって初めて、Youtuberという選択肢を現実的に考え始めるわけです
子供のなりたい職業ランキングにYoutuberが食い込んできたのも、それが「仕事」だと認識されるようになったからです。コンテンツを世に発信することについて、ここ数年で急に子供が興味を持つようになったわけではありません。(現に、漫画家は昔から子供のなりたい職業ランキング上位です。)

無意識に「儲かりそうになり選択肢」を排除しているということは、逆に言えば、マネタイズ方法の選択肢を広げればビジネスの選択肢も広がる、ということです。

そのため、マネタイズの選択肢を学ぶ重要性は、今非常に大きく上がってきていると考えています。

そして、新しい利益の稼ぎ方を考える上のに役に立つという意味で、この本は私が知る限り唯一無二の本です

まず、この本の著者である川上昌直氏以外に、マネタイズというテーマにフォーカスして組んでいる方を私は知りません。

著者がこれまで書かれてきた本も私は読んできましたが、事例集的な側面が強かった、というのが正直な感想でした。
しかし、この「収益多様化の戦略」では、「どういう事例があるか」を元に「自分のビジネスのマネタイズを考える際にどのように考えればよいか」という点まで体系だった整理がされており、事例から一般的な考え方を整理する「抽象化」のところで、過去の書籍とは大きく進化しています。

おそらくこの記事を読んでくださっている方も、「顧客にどのように価値を提供するか」をまずは考えており、「どのように利益を上げるのか?」はあまり考えていなかった方も多いと思いますが、この機会にぜひご覧いただければと思います。おすすめです。

収益多様化の戦略―既存事業を変えるマネタイズの新しいロジック

3.リーン顧客開発

一冊目でご紹介した「ゼロからつくるビジネスモデル」にも書かれていますが、現在、ビジネスモデルの策定は

ビジネスモデルを作りこむ→ビジネスモデル通りにビジネスを実行する

という2段階の流れではなく、

ビジネスモデル案Aを作る→テストする→案B(案Aの改善版)を作る→テストする→案Cを作る→…

という形で、テストを行いながら段階的にビジネスモデルをブラッシュアップするやり方が主流です。
一般に、「リーンスタートアップ」と呼ばれているやり方です。

なぜそういったやり方が主流になっているかというと、「こういうものが求められているはずだ」と決め打ちしてビジネスモデルを練り、製品を作りこみ、営業部隊も雇った後でいざ市場に出してみたら全然売れなかった、というリスクを極力減らすためです。
そのために、早い段階で、生煮えでもいいので製品を顧客に示しつつ、その反応を見ながら段階的にビジネスモデルを完成させていこうというわけです。
いわば、「企業が何を提供したいかではなく、顧客が何を求めているか」をとことん追求しようという、徹底した顧客主義ですね。

顧客が何を求めているのか知るためには、試作品を作って使ってみてもらって感触を得るのも一つですが、それ以上に手軽かつリスクの低い方法として、「顧客インタビュー」という方法があります。

3冊目に紹介する「リーン顧客開発」は、顧客インタビューの方法を具体的に示してくれている本です。

起業アイディアが浮かんだときに

「これって本当にニーズがあるんだろうか?」

「困っている人がいるのは間違いなさそうだけど、その解決方法として、今想定している製品はマッチしているだろうか?」

といった疑問が出てくると思います。そのような疑問を解消するために、顧客インタビューは非常に有用ですので、その方法を知りたい方はぜひこの本を読んでみてください!

1冊目、2冊目に紹介した本と比べると、薄くて読みやすいです。


リーン顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術 (THE LEAN SERIES)

その他の参考書籍

私が今回紹介したい本のメインは既に紹介した3冊ですが、上の3冊に近しい書籍を参考書籍として何冊かご紹介します。

内容が上記の3冊と重なる部分もありますが、より理解を深めたい、という箇所があれば、適宜ご参照ください。

リーンスタートアップ

名前の通り、先程紹介した「リーンスタートアップ」という考え方をはじめに示した本です。

リーンスタートアップの考え方は今やかなり有名になり、近年の起業本では大体載ってますしググっても情報が出てくるので、リーンスタートアップの考え方自体は知っておいた方が良いものの、この本で学ぶ必要は必ずしもないかな、というのが私の意見です。

そのため、参考書籍という位置付けにしました。

ビジネスモデル・ジェネレーション

こちらは、ビジネスモデルキャンパスの元ネタとなっている本です。

9つに分かれているパートのつながりや、それぞれのパートの意味をより深く理解したい、という方は一読の価値ありです。

注意点としては、レイアウトが特殊なので、Kindleだと見にくいです。普段Kindle派の方も、この本は紙の方がいいかもしれません。

起業の科学


先程、顧客インタビューの方法を紹介する本として「リーン顧客開発」を紹介しました。

こちらの「起業の科学」は、顧客開発だけでなく、リーンスタートアップの具体的な進め方を一通り書いてくれている本です。

今回は「ビジネスモデルの作り方」という観点で本を選んだので参考書籍の位置付けにしていますが、起業本という意味では定番の本なので、一度目を通しても良いかもしれません。

一点注意点なのが、こちらの本で紹介されているビジネスモデルキャンパスは、「ゼロからつくるビジネスモデル」や「ビジネスモデル・ジェネレーション」に書かれているオリジナルのものとは違っています。

「起業の科学」に載っているバージョンは、顧客の課題は何か、それに対して自社の製品・サービスが応えられているか、という点により焦点が当てられています。

リーンスタートアップで活用するのであれば、「起業の科学」に載っているバージョンを、パートナーやコスト構造なども含めて整理するのであれば「ビジネスモデル・ジェネレーション」のバージョンを使う方が、目的に合うでしょう。

まとめ

というわけで、ビジネスモデルの作り方を知ることができる本3選でした。

冒頭でも書いたように、ビジネスモデルに注目され始めたの自体が割と近年のことなので、紹介した本も比較的新しい本が多いです。なので、また更に優れた本がこれからもどんどん出てくるかもしれません。その場合には適宜更新していきます!

今回紹介した本をまとめると

  1. ビジネスモデルの作り方全般を知りたい
    →ゼロからつくるビジネスモデル
  2. マネタイズの考え方を知りたい
    →収益多様化の戦略
  3. 顧客インタビューの方法を知りたい
    →リーン顧客開発

という感じです。ぜひ読んでみてください!感想もいただけたら嬉しいです!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA