ぬくブログ
クオリティ株モメンタム投資法

モメンタム投資の売り時を考える

これまでモメンタム投資についていくつか記事を書いてきましたが、どちらかと言えば「何をいつ買うか?」という観点からの分析でした。

しかし、2ヶ月実践してみたところ、買いはイナゴ投資家っぽい立ち回りをすればいいだけになるので、心理的には割と楽でした。

一方で、売りのタイミングは結構心理的に難しいなと感じたので、今回は、「いつ売るか?」という観点からモメンタム投資について整理したいと思います。

売り時は非常に難しく、私もまだまだ勉強中ではありますが、理論的にはここに書いたような感じだと思うので、ご参考にしていただければ幸いです。

そもそもモメンタム投資って何?

まず、こちらのグラフをご覧ください。
株価の動きを非常にざっくりとモデル化したものです。

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グレーのラインが株の本来価値を表しています。
一定の割合で成長する企業を想定すると、株の価値も上図のように右肩上がりに伸びていきます。

一方で、株価の動きはオレンジのラインです。
株の本来価値にピッタリ沿って動くわけではなく、振り子のように上に下にズレながら変動していきます。(実際はこんなきれいに振り子状にふれるわけではありませんが。)
「価値」と「価格」は違う、ということですね。

では、モメンタム投資はこのような株価の動きに対してどのように利益を取っていくのか?ということを表したのが以下のグラフです。バリュー投資と対比して書いています。

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まず、バリュー投資について

バリュー投資の基本的な考え方は、「株価は長期で見れば本来価値に収束する。」です。振り子に例えると、「振り子はいつか逆に振れる」という考え方ですね。
なので、株価が本来価値よりも下がっているときに買い、本来価値に近づいていくことを狙います。
一方で、株価が本来価値を超えると、「株価は長期で見れば本来価値に収束するため、株価は下がる可能性が高い」と判断し、割と早期に売ります。
上の図でいうと、A付近で買って、Cあたりで売るイメージです。

では、モメンタム投資は?

モメンタム投資は、「今上がっている株はしばらく上がるだろう。」という考え方です。「振り子は急には止まらない」という考え方ですね。
なので、上昇トレンドが始まったら買い、上昇トレンドの終わりを感じたら売ります。
上の図でいうと、Bあたりで買って、D付近で売るイメージです。

モメンタム投資を実践する場合の売りのポイント

先ほどの図を再掲します。

 

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モメンタム投資を実践してみて気づいたのは、Dあたりまで持ち続けるのが心理的に結構難しいということです。

株価がCあたりまで上がってくると、「割高だ!」「暴落が近い!」という声が増えて来ます。
しかし、Cあたりで売ってしまうと、利幅はB~Cの限られた利幅しか取れないので、なかなか大きな利益が積み重なりません。
モメンタム投資をやっていく上では、いかにD付近ギリギリまで利益を伸ばせるか、というのが重要になってくると思います。

心を強く持ってモメンタム投資を実行するために

Dまで粘るというのは、口で言うのは簡単ですが、実行するのは簡単ではありません。
「本来価値を超えているのだから、価格は下がるはず。」というのは、とても合理的です。
Dの位置がどれくらいの位置にあるのかということはわからず、Cの点からどんどん遠ざかっていることだけがわかるため、床が紙でできたエレベーターに乗っているような、いつ落ちるかわからないハラハラ感が、高度(株価)が上がるにつれてどんどん増していきます。

そうした恐怖感に耐える必要性があることから、モメンタム投資を実行するには「バカになる」必要があると思われている方も多いと思います。

しかし私は、モメンタム投資を実行するのにバカになる必要はなく、むしろ理性的に、自分が何にベットしているのかちゃんと理解することが重要だと考えています。

バリュー投資家は、
・人々には、株の本来価値がわかる
・人々は、本来価値を上回る価格で株を買うことは基本的にない
という考え方に立っています。
言い換えれば、バリュー投資は人々の合理性にベットしていると言えます。

一方で、モメンタム投資は、
・人々は、本来価値を上回る価格で株を買うことは十分あり得る
・人々は、必ずしも株の本来価値を把握しているわけではなく、他の人の評価によってその価値を見積もっている人も少なくない
・人々は、合理的なラインを過ぎたからといって、その動きを急にピタッと止めることはできない
という考え方に基づいています。
言い換えれば、モメンタム投資家がベットしているのは、人々の非合理性・群衆心理・慣性の法則です。

計量経済学と行動経済学のどちらが正しいとも言えないように、バリュー投資家とモメンタム投資家のどちらが正しいとも言えません。

「振り子はいつか逆に振れる」というのも事実ですが、「振り子は急には止まらない」というのもまた事実です。

なので、大事なのは「今振り子のどの辺なのか?」を意識することです。
「割高だ!」「下落するぞ!」という声に屈しそうになった時は、「割高なのは正しいかもしれないけれど、まだCのあたりに過ぎない。まだしばらく私は人々の非合理性を信じる!」と自分の拠り所を確認することで、粘り強さが増すのではないでしょうか。

とはいえ、人々はいつまでも非合理なわけではないので、非合理性を妄信してはいけません。
繰り返しになりますが、「振り子は急には止まらない」ことも事実な一方で、「振り子は必ずいつか逆に振れる」というのも事実です。
振り子が逆に振れ始めたら、一目散に逃げる準備はしておきましょう。            

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