ぬくブログ
マルチバガー分析

過去5年・10年間の売上成長ランキング

5年後、10年後を見据えた投資をしよう、と思い株を買う時「この企業の業績はどれくらい伸びるのか?」ということを多かれ少なかれ考えることかと思います。

私もその点について予測するようにしつつ、株価見通しとかを考えているのですが、「そもそも企業って、5年、10年でどれくらい成長するものなのだろう。」というのが気になったので、調べてみました。

例えば、
5年で売上3倍になるという予測は、どれくらい現実的なのか?
売上が1Bの企業と、100Mの企業では、成長率の予想を変えた方がいいのか?
といったことがわかれば、予測の精度も上がるだろう、という趣旨です。

というわけで、早速分析結果を発表していきたいと思います。

今回の分析の内容

まず、最近新しくなったFINBOXを使って、以下の2条件でスクリーニングを行いました。

条件1:過去5年間の売上のCAGR(年の平均成長率)
条件2:時価総額1B以上

その結果、444銘柄がヒットしました。

その銘柄について、2015年から2020年の5年間の売上成長、2010年から2020年の10年間の売上成長でランク付けして、上位の銘柄を整理しました。

まず、2015年から2020年の5年間の売上成長ランキングの結果からご説明します。

2015年から2020年の5年間の売上成長ランキング

その結果がこちらです。
56位がちょうど5年で10倍になっていたので、56位まで掲載しています。表の中に書き忘れましたがRevenueの単位はMillionです。
黄色の行は2015年時点の売上が10M~100Mだったもの、オレンジの行は100M以上だったものです。

こう見ると、上位は白い行が多い、つまり2015年時点で売上10M以下のできたてほやほやだった企業が多い、ということがわかります。
5年で売り上げが100倍になっているような企業は、全部売上10M以下から伸びてますね。

まあ実際、今の自分の保有株が「5年で100倍に成長するぞ!」と超強気な予測を立てている方はあまりいないかもしれませんが、もしその銘柄が既に100Mとか売り上げている企業であれば、将来見通しを見直した方がいいかもしれません。

先ほど表にした56銘柄について、企業の売り上げとその後の成長の関係性をもう少し視覚的に表したのがこちらの表です。

ごちゃごちゃするので各点がどの銘柄かは書いていませんが、左上から右下にかけてなだらかに下降しており、元の売上高が大きいほど、その後の成長に限界がある傾向が見て取れるかと思います。(限界があると言っても、この表に載ってるのは全部5年で10倍以上になっている銘柄なので、よっぽど強気な予測をしない限り十分とは言えますが。)

売上100M以上の銘柄に絞ってみる

これまで、特に元の売上高に条件は付けていなかったので、元の売上が0.1Mとかの銘柄も入っていましたが、バイオ専門の投資家とかじゃない限り、皆さんがお持ちの銘柄の多くは100M以上売り上げている規模の企業が多いのではないかと推察します。

なので、次は、元の(2015年の)売り上げが100M以上あった銘柄だけに限定して、その後の売上成長率Top56を整理してみました。その結果がこちらです。

2015年時点で売上が10Bを超えていても、そこから更に5倍近く又はそれ以上になった銘柄もある(BABA、CNC、FB)ようです。
逆に言えば、
・売上10B超えでその後一番伸びたのはBABAの5.9倍(CAGR42%)
・売上1B超えでその後一番伸びたのはTSLAの7.8倍(CAGR51%)
なので、既に売上が1Bを超えている企業が年率40~50%の成長を続けようと思えば、BABAやTSLA級の成長をしなければならない、ということになります。これは中々高いハードルです。
もちろんその企業のTAMとかにもよるのですが、大企業の成長速度の限界を予測する上での一つの目安になるかもしれません。

売上がマイナス成長になった年がない銘柄に絞ってみる

先ほどは、5年前の売上で絞り込んでみましたが、今度は、5年間のいずれかの年で、前年比マイナス成長になってしまった銘柄は除いてランキングを作ってみました。
5年間の成長率が高いと言っても、一年で一気に伸びて他は横ばい又はマイナスの銘柄と、安定して伸びた銘柄があると思いますし、長期投資を目指すなら、どちらかといえば後者の安定して伸びる銘柄が望まれるのではないかと思います。

というわけで、2016-2020年でマイナス成長の年があった銘柄を除き、改めてランキングしたのが以下の表です。(ちなみに今回は、2015年以上の売上で絞り込みはしていません。)

今は売上1Bを超えているBILI、EXPI、SNAPあたりも、たった5年前にはこんなにかわいい売上だったんですね笑

ぱっと見の印象でしかないですが、絞り込む前より色付きの行が増えた気がします。比較用に、2016-2020年でマイナス成長の年があった銘柄を含むラインキングを再掲します。

ちゃんと分析していないので確かなことは言えないですが、成長の爆発力は元の売上が小さい企業の方が高いものの、成長の安定感は、ある程度売上がある企業の方が高いのかも、と考えたりました。

2010年から2020年の10年間の売上成長ランキング

では次に、10年間のランキングの結果発表に移ります。結果はこちら。

なお、444銘柄のうち、まだ2010年時点で創業していなかった等の理由でFINBOXで2010年時点の売上データが取れなかった銘柄も多かったため、249銘柄中のランキングになります。

上位は元の売上が小さかった企業が多いのは変わらずですね。
元の売上とその後の成長率の関係図はこちらです。

やはり、左上から右下の流れに沿って分布していますね。
ちなみに、元の売上が1B超えている2銘柄は、FBとCNCです。

売上100M以上の銘柄に絞ってみる

10年間のランキングも、元の(2010年の)売り上げが100M以上あった銘柄だけに限定して、その後の売上成長率Top56を整理してみました。

FBやCNCがすごいのはもちろんですが、元の売上が34Bあったのにそのあとの10年間で10倍以上になってるAMZN(27位)の存在感も目立ちます。

売上がマイナス成長になった年がない銘柄に絞ってみる

今度は、2011-2020年でマイナス成長の年があった銘柄を除き、改めてランキングしたのが以下の表です。

絞り込む前より色付きの行が増えた気がするのは、5年間のラインキングと大きくはかわらなさそうですね。
2011-2020年でマイナス成長の年があった銘柄を含むラインキングは以下の表(再掲)です。

まとめ

というわけで、今回は「企業の売上ってどれくらい成長するものなの?」ということを整理してみました。

まとめると
・元の売上が高いほど、その後の成長率に限界は出てくる。
・とはいえ、元の売上が大きくても、その後十分に成長する企業も一定程度存在する。
・成長の安定感という点で見れば、元の売上が一定程度ある企業(≒企業の基盤がしっかりしている企業?)の方が有利なのかもしれない。
といった感じでしょうか。

今回の分析は、全体の傾向を見るというよりは、個別銘柄の成長予測をする際に、「今の売上が500Mくらいだから…5年前の○○の銘柄と同じくらいのステージと考えると、今後5年で〇倍くらいになるかな?」みたいな感じで使うことを想定して作っているので、そういう観点でも色々参考にしてもらえれたらと思います。

 

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